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ベルナルト・ハイティンク指揮、ロンドン交響楽団

 先日、『The USA vs. John Lennon』という映画の先行公開を観にリンカーン・センターの映画館に出かけたら、あっさりチケットが売り切れていて、仕方なくその辺をぶらぶら見物しているときに目に入ったのが、ベルナルト・ハイティンク指揮、ロンドン・シンフォニー・オーケストラのベートーベン交響曲シリーズ。一番高い席で85ドル、ということは、約1万円。日本では1万円でハイティンクは聴けないだろうと思うと、ふらふらとチケットを買ってしまった。とはいっても何回もは行けないので、交響曲2番と3番の日にした。

 それが今日。演奏はとても良かった。ハイティンクのCDは何枚か持っているが、いつも端正で丁寧だけれど、いまひとつ踏み込めないような感じがする巨匠だった。ところが今日は、基本的な印象は変わらないものの、堅実ながら音の躍動が感じられて、たんなる渋々のおじいさんではないということが何となくわかった。特に2番が良くて、意外なまでにシャープな動きでキビキビとした指揮ぶりにオケも良く応えて、ひとつひとつの音をしっかり刻みながら、今まで気づかなかったこの曲の美しい綾に気づかせてくれた感じ。でも基本線はどっしりと太い幹がそびえていて、破綻はない。そこがかつての僕には物足りなかったのかもしれないし、その良さがわかってきたということは、歳をとったということなのかもしれない。

 しかし曲の途中でも咳払いをする人がかなり多かったのには閉口した。2日前にいきなり気温が20度ぐらい下がったので、風邪気味の人が多いのは仕方ないのだが、アメリカ人以外でもこんなに咳をするものかといぶかしむほど。しかし演奏が終わった後の拍手は熱狂的で、たしかに良い演奏だったとはいえ、そこまで歴史的名演というわけではないだろうと思った僕にはついていけない。

 で、コンサートの後はアパートのすぐそばの「吉野屋」で、Teriyaki Chicken Bowlをかっ込む。腹が減っていたせいか妙においしく感じる。ここには平均すると週に一回ぐらい行ってしまっているが、安くてなじめる味ということもあるけれど、もうひとつ、ここの店員さんたちはニューヨークとしてはみんな結構明るくて、それがちょっとほっとするのだ。別に日本語が通じるわけではなく、客は日本人と黒人が多い。そういえば、牛丼とか照り焼き丼とかって、なんとなくソウル・フードっぽいもんね。あとサイドメニューにキムチもあるので、韓国人も多いのかもしれない。僕が行くときにはあまり見かけない気がするが。