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パティ・スミス

 そんなわけでCBGBでのパティ・スミスは見られなかったけど(TVのニュースでは盛んにステージ風景を映していたけど、時間は短かった。それでもパティが「ノスタルジックに思えるかもしれないけど、……」とかなんとか喋っているのだけは聞こえた)、チケットを探している過程で、別のイベントがあるのを発見。メトロポリタン美術館で、アルチュール・ランボーの誕生日にちなんで、パティ・スミスがポエトリー・リーディングと歌のイベントを行うという。歌もあるということは、バンドも出るのだろう、ということはあのレニー・ケイも見ることができるはず。。。僕はちょっとどきどきしながら、20分も待ったバスに乗って、セントラル・パークを横断して、メトロ美術館にチケットを買いに行った。まだあればいいのだけど……。なかに入って、売り場の優しい老婦人に「20日のイベントの……」と話しかけると、「パティ・スミスね!」とにっこりしてくれる。ほんとに物腰柔らかな人だった。チケットはもうあまり残っていなくて、ぎりぎりのタイミングだった。老婦人は2階のこの席のほうが1階のこっちよりステージに近いということも教えてくれた。お礼を言って美術館を出て、もうどんどん冬が迫って風が強まってきた夕刻のイーストサイドを歩いた。
 そのパティのパフォーマンスは、もうこれだけでニューヨークに来た甲斐があった、これからどんな苦しいことがあっても耐えられる、と心から思える体験だった。それと同時に、僕がいままでいまひとつつかみかねていたパティ・スミスという人の凄さ、いったい彼女の歌の何が70年代前半のニューヨークにおいて画期的だったのかということが、はじめてしっかりつかめた気がしたのだ。それについてはまた近いうちに書きたい。