アメリカン・ビューティ、金魚屋古書店、愛のアランフェス

 昨日はRapp教授のセミナーで疲れたのに、夜、ブロックバスターから届いていた『アメリカン・ビューティ』(面白い! しかし身につまされる……)を観てしまったので寝るのが遅くなり、当然今朝も遅起き。クリーニング屋に行ったり、必需品であるオレンジ・ジュースの安いスーパーまで出かけたりしているうちに昼になり、一息入れてから久しぶりにブックオフNY店に行く。お目当ての『金魚屋古書店』(芳崎せいむ小学館)の第1巻第3巻があったので購入、同じ通りの並びにある日系カフェ&ベイカリー「ZAIYA」に行って、抹茶プリンを食べ、紅茶をすすりながら早速読む。至福。

 『金魚屋古書店出納帳』はいったい何回読み返しただろう。大げさでなく、数え切れないほどだ。マンガ専門古書店という舞台は画期的だけど、内容は言うなれば上質の人情話で、どうということはないと言えばどうということもない。けれども、これがもう、最初に本屋の店先で立ち読みしていたときから泣きそうで、家で寝転がりながら読んでも、いつも泣きそうになる。この「泣きそう」というところが素晴らしいので、わんわん泣いてしまうわけではないのだ(もちろんそういうマンガも素敵なのだが)。最近とみに涙腺が弱まっていることを差し引いて考えてもも、このマンガの繊細な情感はただごとではない。絵柄もきれいで、丁寧だし、言うことなし。何より素敵なのは、この作者はマンガをこよなく愛していても、マンガを読んでマンガを縮小再生産しているのではなくて、マンガを自分から世界への通路として愛していると感じられること。

 それにしても、ZAIYAさんではいつも食パンやあんパンを買ってはいるものの、ケーキ類を食べるのは初めてだったけど、抹茶プリンはとってもおいしかった〜。やはりスイーツはいいねえ。その勢いで(?)、食べた後にもう一度ブックオフに寄って、『愛のアランフェス』第1巻を立ち読みしてしまったよ。僕の少女マンガ歴原点にして原典であるだけでなく、中学生時代から不変の少女趣味&ロマン主義的感性の植え付けてくれてしまった名作。あの頃僕は、たぶん黒川貢になりたかったのさ。