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英語を書く

 NY滞在中の収穫の一つは、英語を書く愉しさが少しだけわかってきたこと。機会をつかまえて報告するつもりの草稿を日本で準備してはあったのだけれど、最終的にはあちらで滞在中に一から書き直したものを、2月に小さな研究会で発表させてもらった。そこに至る過程では現地で知り合ったJoe Samaline君に助けてもらった。彼の力がなければホントにしょーもない英作文しかできなかったと思う(だけでなく、NY滞在全体がはるかに退屈だっただろう)。日本に5年間暮らしたことがあり、若者向けのDV防止プログラムを推進するNPOで働き、フェミズムに関わる問題全般に多大な関心をもつ彼とディスカッションしながら英文を直してもらえたことは真に幸運だった(それ以前に、彼と知り合えたことそのものが最大の幸運だったと言うべきだが)。

 もちろん自分でも、Joe君を唸らせるような英文を書いてやろうと頑張った。そこでいちばん役に立った辞書は、セイコーインスツルメンツの電子辞書SR-G10000に収録されている『研究社和英大辞典』。そしてそれと並んで、Oxford Collocations Dictionary for Students of English。基本的な文法が身についていれば、英語を書く際に次に気になるのは何と言ってもコロケーションである。動詞句なんかは『ジーニアス大英和辞典』だけでもかなりのことがわかるが、「この名詞にはどういう形容詞が付くか」まではわからない。そうした点を調べるには後者は必須。定評ある『研究社英和活用大辞典』も良いが、Oxfordの方が語義の解説さえなく、ただ純粋にコロケーションだけをずらり並べているという簡潔さで、スピーディに調べられるのがよい。これらの辞書で確信が持てなければ、最終的には自分が思いついたコロケーションをGoogleで検索してみて、ヒット数からその妥当性を判断することになる。

 文法事項の確認にとても役だったのは、綿貫陽とマーク・ピーターセンによる『表現のための実践ロイヤル英文法』。マーク・ピーターセン先生の英語本は中級学習者にとってはすべて必読だが、この本も良い。パラパラとめくっているだけでも楽しいが、看板に偽りなく、特に「書く」場面で非常に教えられることが多かった。自分の無知をさらす恥を忍んで実例を挙げると、僕は「as if...」構文はもっぱら仮定法で使うもので、したがって必ず後には動詞の過去形が続くものだと思いこんでいたのだが、現在形で「まるで...のように」という文を書くときに困ってこの本を調べてみると、直接法でlikeと同じようにも使うということがわかった。このレベルの経験が何度もあって、その都度この本の的確な説明に助けられた。

 まだまだ全然幼稚な英文しか書けないのだけれど、これから着実に学んでいけばいずれは捻りのない論文調ぐらいは書けるようになれそうな感触をもてたことだけでも、僕にとっては儲けもの。英語としてスマートな構文や語彙の選択に頭をめぐらすのもなかなか楽しい。そして、書くことに時間を割いてみると、読む際にも筆者ごとの文体の違いへの感度が上がって、読む楽しみが増える、というか苦しみが減じる気がするのもメリットである。