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差別と権力

 前からずっと気になっていた魚住昭『野中広務――差別と権力』(講談社文庫)を、近所のブックオフの100円コーナーで拾って、思わず一気読み。期待にたがわぬ面白さだった。唸らされ、考え込まされるエピソード満載だが、とりわけ野中氏が「加藤紘一の乱」を剛腕で鎮圧したために、かえって自身にとって致命的な「小泉フィーバー」を招来してしまったあたりには、人間味に溢れ、民衆の心の機微を十分に理解しながら、より大きな人心のうねりを見通す力はもたなかった叩き上げ政治家の悲哀というにはとどまらない、歴史の狡知の無惨さを感じさせられる。自民党だろうが市民運動だろうが、世界の内部に何らかの変化をもたらそうとする者にとって、それはまったく他人事ではない。