手塚治虫「戦争漫画」傑作選 (2) (祥伝社新書 (087))
posted with amazlet on 07.11.07
人間を溶かす薬品の研究に従事する二人の研究者の時空を越えた邂逅と悲劇を描く「溶けた男」(『ザ・クレーター』中の一話)、人間の恐怖心を取り除き殺人マシーンに変貌させる食品がもたらす惨劇「イエロー・ダスト」、そして空襲で死んだ小学校の同級生たちと再会する主人公の哀しみが胸を打つ「カノン」が本書の白眉だろう。個人的には既読の作品が多かったけれど、このようなアンソロジーで読むことで、手塚の異様なまでに激越な〈戦争への怒り〉が改めて剥き出しに迫ってきた。