浅野いにお短編集、不思議な少年7

世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
浅野 いにお

小学館 2008-10
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 まだアマゾンに表紙画像がない。
 『素晴らしい世界』の続編など、単行本未収録の短編を集めたものに、エッセイとかカラーとか、そして何より描き下ろしの「世界の終わり」を加えた作品集。超高密度の傑作ばかりが詰まっている。絶対に保証する。僕がいちばん好きなのは、三部構成のちょっとした大作「日曜、午後、六時半。」 ここに出てくる若菜みたいな女の子のためだったら、勢い勇みすぎて死んだりしても、「ま、しょーがねえか」と思えるだろう。
 ただし、作者のあとがきによると、『ソラニン』終了後、スピリッツに戻った最初の作品で、完全にプレッシャーに負けた空回り作品だそう。でも、実際には登場人物の誰ひとり死んだりしないということだけでも、僕はこのこっちのほうが『ソラニン』より好きだ。

不思議な少年 7 (7) (モーニングKC)不思議な少年 7 (7) (モーニングKC)
山下 和美

講談社 2008-10
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 こちらはすでにマンネリ圏内に入って久しいが、新刊が出れば迷わず読まねばならないだけのテンションは保っている。この巻にもなかなか酷薄な話が入っているが、今回はそれよりも、物語の登場人物が実在と化して通ってくるバーの話が楽しい。表紙の絵のように、少年がバーテンダーをやっているのだ。そして、これは単なる偶然なのだが、これと浅野いにおの本とのあいだにある重要な連関があることに、ついさっき気がついた。月曜が近づいてくるのって憂鬱だよね。