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意味とシステム

意味とシステム―ルーマンをめぐる理論社会学的探究意味とシステム―ルーマンをめぐる理論社会学的探究
佐藤 俊樹

勁草書房 2008-10-22
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 いただきもの。ずっと前に送っていただいていたのだが、いままで紹介しなかったのは別に放っておいたわけではなくて、すぐに読んで何か書きたいなと思っていたから。大学院の基礎演習という授業でルーマンの『信頼』を読んでいるしね。
 しかしなかなかその日はこない、どうも今年中に落ち着いて読むのは不可能らしいということが見えてきたので、陳列だけさせていただきます。
 それでも短い序章だけは読んだ。なかなか味わい深い。フレーズがある。

 この理論/実証という二分法は、しばしば、「抽象的な思考が得意なのが理論系」で「経験的なデータが好きなのが実証系」だと誤解されている。けれども、理論を名乗っていても、抽象的な思考が下手な研究は少なくないし、経験的なデータをあつかうといいながら、抽象的な図式を強引にあてはめた研究も少なくない。
 むしろこれは、「世界より自分の頭のなかが広ければ安心できるのが理論系」「世界が自分の頭のなかより広ければ安心できるのが実証系」と考えた方がすっきりする。抽象的思考の上手下手ではなく、世界と自分との関係づけのちがいだ。それが見渡すことへの欲望の強弱として現れてくる。

 ふむふむ。
 あと、こんな叙述もさらっと。

 もしコミュニケーションシステム論の理解に必要な論理学があるとすれば、直観主義論理学だろう。(……)例えば統計的検定の応用に見られるように、二重否定を肯定と同義にしないのは、経験的な研究ではそれこそ経験的に「それが賢明だろう」とされる。その意味では、社会科学の研究はもともと古典論理ではなく、直観主義論理に近い形で考えている。その点でも、ルーマンのシステム論は経験的研究に近い。

 ちょっとちがう話ではあるが、僕は必要があっていわゆる「構築主義」にどういう意義があるのか、ないのかについて自分なりに考えてみたとき、巷にあふれる、意味も定かでない構築主義のインフレはさておいて、いちばん筋がいいのは直観主義のような数学における構成主義の発想のアナロジーで社会現象を見ることであろうという見通しを持ったことがある。例によってその後この思いつきをきちんと掘り下げて調べることは怠ったままなのだが、まじめに考えていけば、佐藤氏の上記のような考えに近づくのかもしれない。もっとも、それは多くの「すべては言説だ」式の素朴構築主義とはまるで別のことであるはずなので、名称がミスリーディングなのだが。

信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム
大庭 健

勁草書房 1990-12
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