辞書からはじめる英語学習

辞書からはじめる英語学習辞書からはじめる英語学習

小学館 2007-03-10
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 昨年度、英語の講読の授業を持ってみて、学生たちの現時点での英語力が低いのは仕方がないのだが、もっと根本的な問題として、予習する力というか、勉強するスキルそのものがきわめて低いことに気づいた。そのことを何よりも端的に表しているのは、辞書を引けないことだ。電子辞書のキーをちゃちゃっと押して、画面のいちばん上に出てきた訳語を適当につなげて、自分でも意味不明の日本語訳(?)をつくりあげて、「それどういう意味?」と聞かれると「わかりません」と答える。そういう学生が多すぎた。

 これは由々しき問題である。なかには、そもそも辞書など引く気がない、つまりやる気がないという学生もいたようだが、みんながそういうわけではない。外国語を読むために最も大切な辞書の引き方をしっかり身につけてきていないということである。それに気づいて、本書を授業で紹介した。今年度の講読は「中級以上」と限定をつけたので、昨年度のようなことはないだろうとは思ったが(実際、やってみるとなかなか出来が良い)、やはり初回の授業で本書を紹介した。

 これは素晴らしい本である。英語その他の外国語を読む力、書く力を向上させたい学生諸君に自信をもって薦めたい。辞書の引き方の指南書なんて、家電の取説みたいでいかにも退屈そうなんて先入見は捨てて、まずは通読し、そしてその後も座右において何度でも見返すこと。もう分かりきった内容しか書いてない、と思える日まで。僕自身は全然そこまで行っていないので、研究室の椅子に座って振り返るとすぐ手が届くところに本書を置いてあります。