比嘉 慂(ひが すすむ)『砂の剣』『マブイ』『美童物語』『カジムヌガタイ』

砂の剣(すなのつるぎ)砂の剣(すなのつるぎ)
比嘉 慂(ひが すすむ) Susumu Higa

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マブイマブイ
比嘉 慂(ひがすすむ) Susumu Higa

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美童物語 (モーニングKC)美童物語 (モーニングKC)
比嘉 慂

講談社 2007-02-23
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美童物語(2) (モーニングKC)美童物語(2) (モーニングKC)
比嘉 慂

講談社 2008-08-22
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カジムヌガタイ−風が語る沖縄戦 (モーニングKC (898))カジムヌガタイ−風が語る沖縄戦 (モーニングKC (898))
比嘉 慂

講談社 2003-07-23
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 沖縄出身で、沖縄戦の渦中また戦後の沖縄の人々の物語を――むろん日本「本土」やアメリカの人々とのかかわりをも含めて――ひとつひとつ慈しむように描き続ける漫画家・比嘉 慂の、いま書店で入手できる作品たち。
 ただし、最後の『カジムヌガタイ』は、新品では入手できないようだ。古本はいまのところかなり高いので、まずお手軽には「Yahooコミック」で、367円(80日間限定)で読める。僕もこれで読んだ。

http://comics.yahoo.co.jp/kodansha/higasusu01/kazimunu01/shoshi/shoshi_0001.html

 僕はまだ、これらの作品の内容について語るべき言葉を持っていない。ただ確かに言えるのは、比嘉慂の作品たちが、僕にとって、何度も繰り返し読み返すであろうマンガに属しているということだ。かつて江川達也も名作『BE FREE!』のあとがきに書いていたように思うのだが、マンガ好きな人なら、傍で見ている人があきれるぐらい、好きなマンガをざっと読んで投げ捨てるなどということは決してなく、何十回、いや大袈裟でなく何百回も読み返してきただろう。僕にとっては『ブラックジャック』『人間ども集まれ!』『アポロの歌』がそうだったし、ふるくは藤子F不二夫の短編群、また『光る風』『11人いる!』といった不朽の古典的傑作、朝日ソノラマ大島弓子全作品集、『キラキラ!』『さくらの唄』『リバーズ・エッジ』『地獄の戦士』『パイナップル・アーミー』、もちろん『寄生獣』や『大奥』といった近年の収穫、『三丁目の夕日』全巻、それに『のだめ』だって『江古田ちゃん』だって『聖おにいさん』だって、そして個人的偏愛からいえば『ハートカクテル』や『無限の住人』でさえ、いやまだまだ挙げるべき作品はたくさんあるが、いったいこいつらを何回読み返してきたか、数えることなどできないほどだ。『美童物語』をこの2、3日で僕はすでに5回は読んでしまった。まだ沖縄戦のはじまる前、しかしキナ臭い風が「日本」から吹き始めている沖縄で、貧しさのために身売りされた少女が逞しく成長していくこの幹の太い物語を、僕はこれからどれくらい読み返すことだろうか。
(ちなみに、『美童物語』第2巻は2008年に出ていて、その後続刊はないのだが、昨年2010年10月に『モーニング』に続編が2回掲載されたとのこと。早く単行本にまとめられることを願う。)