妙に肉感的な14歳の少女をめぐって身勝手な欲望をだだ漏れさせまくる大人や同級生たちの観察記録。クラスで最上位のポジションを確保している恵まれた家庭の美少女が、ハブられ気味の主人公に優しい声をかけながら、裏では彼女から打ち明けられた近親相姦の恐怖を噂話にしてばらまいている、といった設定自体は、90年代以降の定石だし、おおむねニンゲンのネガティヴな面ばかりを拡
大鏡で見せつける的なノリもおなじみのものだが、ついつい読んでしまうのは、ヤバイ状況が決定的な惨劇には至らず寸止めで止まっている不安定さに引きつけられてしまうのと(たとえば主人公の父親による
性的虐待も、いまのところ「少女が自室で眠っていると父親がそっと入ってきて10分ほどじーっと見てから出て行く」とか「少女が風呂に入っている間ずっと洗面所にいる」とかのレベルでとどまっている。ただしまだ第1巻だからかもしれないが)、主人公の少女の造形がいろんな読み込みを許すべく曖昧にされているからだろう。巧い作者なのだ。