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三部けい『僕だけがいない街』第2巻

僕だけがいない街 -2 (カドカワコミックス・エース)僕だけがいない街 -2 (カドカワコミックス・エース)
三部 けい

角川書店 2013-06-01
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 惨事に立ち会いそうになるとその直前にタイムスリップしてしまい、その惨事を防ぐべく歴史に介入しない限り、時間のなかをループし続ける、という特異体質(?)をもった青年が、直接には母親を救うために過去に戻ることを強く願う。すると、彼の期待をはるかに超えて、時は18年前、10歳のころに戻ってしまう。青年は戸惑いながら、おそらくすべての間違いの淵源である、かつて小学生の自分を深く傷つけたある事件を回避するために、28歳の精神年齢とそこに至る記憶を隠しながら、かつての同級生たちのなかに分け入っていく……。
 いわゆる時間ループものの一種だが、ドラマが進行するにつれ、否応なく高まるその緊迫感において、名作、いや超名作になりうるという予感も濃厚になってきた。キャラクターの造形も素晴らしく、とりわけ小児性愛者に殺されたとされるヒロインの女の子はこの物語の推進力たるにふさわしい存在感だ。主人公とバイト先が一緒の女子高生の18歳という年齢が、主人公がタイムスリップした18年前という時点とどう絡まってくるのか……といった伏線も巧み。

 ところで僕はこの作者をなぜか男性と思い込んでいて(『ジョジョ』のアシスタントをしていたという帯の文句から勝手にイメージを膨らませたのかもしれない)、しかし読みすすむうちに、プロットや絵の良さとは別に、優れた少女マンガレベルの心理(のやりとり)描写に繰り返し遭遇して、そのたびに驚き唸っていたのだが、あとがきマンガを読むと作者は女性であった。むむむ……。