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押見修造『悪の華』

 昨晩、ようやく採点が終わり、あとは細かい点数調整だけになったので、調子に乗って話題の『悪の華』をkindle大人買いし、8巻まで一気読み。おかげで激しい眼精疲労に見舞われ、夜中に頭痛で目が覚めてしまった。いいトシをして阿呆過ぎる。胃を守るために少し牛乳を飲んでからノーシンを1錠だけ飲んで、1時間ぐらいするとどうにかまた眠ることができた。

 そして朝はクロネコヤマトの人が鳴らす呼び鈴に素早く反応し、飛び起きる。持ってきてくれたのはセミアコ用のギターケース。これでRickenbacker330を持ち出せるようになったぜ。次回のS君とのスタジオ練習にはこれを持って行く。

 さて『悪の華』、これはなんというか、どう評価すればよいのか正直わからないです。人間心理の分析の繊細さ・深さや、その背景への眼力において、作者が衝撃を影響を受けたと書いている『さくらの唄』(安達哲)のような名作には及ぶべくもないことは明らかだ。『さくらの唄』が浮かび上がらせたバブル景気という得体の知れない怪物(=社会)はほぼ全く描かれていない。これがセカイ系というやつなのだろうか? 学校にも家庭にもとりたてて問題はなく、登場人物たちが何にそんなに苛立っているのかがわからない。たぶんそれが「普通の子がいきなりキレる現代社会」というものを反映しているのだろうし、僕が(この点に関しては)トシ相応に、すでに思春期を遠く過ぎてしまったからわからないだけかもしれない。地方出身者ならまた違う感想をもつのかな。まあとにかく、僕としては、それほど大したマンガではないと思った。
 ではつまらないのかというと、そういうわけでもないのが微妙だ。ついつい頭痛に襲われるまで目が離せなかったぐらいなのだから。オヤジ読者としては、作者が登場人物たちとともに少しずつ成長していくのを感じて気になってしまうというのもあるが、結局のところ現時点で本作の魅力の8割以上は、絵柄のかわいさにあるのではないか。もし仲村さんや佐伯さんがあれほどに魅力的に描かれていなかったら、これほど先が読みたいと思えるだろうか。だいたい、主人公の少年はお定まりの自意識過剰で悶々としつづけるが、文学かぶれという異質性に魅力を嗅ぎつけた美少女たちが次々に彼に絡んできて翻弄する、これは(本人はつらいつらいと言うのだが)どう見ても一種の「男の夢」ストーリーではないか。
 そういうわけで、マゾ気味の男に都合の良い美少女キャラが絡んでくれる変形「男の夢」もののままで終わるのか(いやそれがダメってわけじゃないが)、それとも高校生編に入って主人公たちが本格的に堕落を深めていくのか、なんだか妙に怖い美少女・佐伯さんは今後何をしでかしてくれるのか、やはり今後も目を離せない、と思ってしまったのであった。

惡の華(1) (少年マガジンKC)惡の華(1) (少年マガジンKC)
押見 修造

講談社 2010-03-17
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