『象られた力』、「形象の力」

 飛浩隆『象られた力』(早川書房)を読む。新しめのSFを読むのは久しぶり。これはなかなかの力業、特に表題作はきわめて丹念に仕組まれた奇想だ。さすがSF大賞受賞作。最近の日本SFはこれくらいのレベルの作品がけっこうあるのかな? それならまた読んでいきたい。

 ところで、上の記事を読んでくださった方の中のごく少数の人は、この小説のタイトルを見て、田崎英明氏若かりし時代の名論文(実質的デビュー作だったかもしれない)「形象の力」を想起したかもしれない。短命に終わった『季刊クリティーク』に、1987年?(いま本棚に見つからないので確認できない)に掲載されたもの。この論文を読んだときに感じた、それまでに知らなかった種類の興奮を思い出す。『象られた力』とは、内容的には全然関係ないが。(そうでもないかな?)