あっかんべェ一休

 Mと「禅の考案と私的言語」的な話をしていたら、久しぶりに坂口尚の名作『あっかんべェ一休』(上下、講談社漫画文庫)が無性に読みたくなり、押し入れの奥の段ボール箱から引っ張り出して、ついついイッキ読みしてしまった。ちょっと文字が多すぎて、文庫版だとかなり読みにくいという弱みはあるが、これは歴史上の人物を素材にしたまんがの中では最高傑作のひとつだろう。坂口尚の圧倒的画力を堪能しつつ、勢いよく語り通される一休宗純の生涯と思想を眺め渡すことができる。死に瀕した一休の顔にアップで迫るラストが、またしても胸に迫る。

 一休宗純『狂雲集』(柳田聖山訳・解説、中公クラシックス)も、『あっかんべェ一休』と一緒に、何年も前に買って、たまに読んでいるのだが、こちらは元が漢詩なので、さすがに難しい。己の無教養を嘆くのみ。

 それにしても、坂口尚は49歳で逝ったのだな。僕の指導教官だった馬場修一さんが死んだのは48歳。数年前に亡くなった同僚は51歳。最近、ときどきそんな「数字」について考えてしまう、ことがある。