ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』

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チャールズ ディケンズ Charles Dickens

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デイヴィッド・コパフィールド〈2〉 (新潮文庫)デイヴィッド・コパフィールド〈2〉 (新潮文庫)
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デイヴィッド・コパフィールド〈4〉 (新潮文庫)デイヴィッド・コパフィールド〈4〉 (新潮文庫)
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 あー面白かった! 次々に繰り出されるキャラ立ちまくりの登場人物たちの過剰な饒舌に目を委ねているうちに、いつのまにか文庫本全4巻を読み終えてしまう。ディケンズの人間描写の精細ぶりにはただ感服するのみ。しかも、19世紀しゃべくり漫才の一方の雄・ドストエフスキーとは違って、ストレートに笑える場面が満載なのがよい。しかも、いわゆる「深さ」でだって、決して負けてはいないのだ。エリート金持ち学生スティアフォースの得体の知れない暴走人生の末路に胸をふさがれ、娘を精神的に食い物にしようとする母親の現代性に驚愕させられる。でも最高のヒーローは、開巻早々、女ではなく男(デイヴィッド)が生まれたことに腹を立てて家に帰ってしまって以降、主人公に対してことあるごとに毒舌を吐きまくるベッチー・トロットウッド伯母さん。彼女のような優しい人間になるには、どれほどの洞察力と忍耐心が必要なのだろうか。