レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

……の新譜『ステイディアム・アーケイディアム』は、いいじゃないか。超傑作『カリフォルニケイション』のあと、僕には前作の『バイ・ザ・ウェイ』はむしろ地味で物足りなく感じたが、今度のやつは2枚組にもかかわらず、密度というか、「ついつい繰り返し聴いてしまう」度がぐっと高いと思う。
 『ギター・マガジン』のインタビューでも強調されていたが、まさにジョン・フルシアンテが持てる才能を全開バリバリに大放出したという趣だが、決して独壇場にはなっていない。ジョンの疾走によって他のメンバーまでタイムがあがっている。それだけのミュージシャンたち、それだけのバンドなのだということを再認識させられる。ただし、やはり『カリフォルニケイション』のような、心臓を直接熱い手で鷲摑みにされるような息苦しい切なさはもはやない。それは無い物ねだりというものだろう。でもそうすると、僕にとってのチリ・ペッパーズとは、『母乳』でも、『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』でさえなくて、やはり『カリフォルニケイション』であり、そしてジョン・フルシアンテとは、あのどうしようもないNiandra Ladies and Usually Just A T-Shirtであるのは、変わらない。