2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

言説分析の可能性

佐藤俊樹・友枝敏雄編著『言説分析の可能性――社会学的方法の迷宮から』の最初の三つの論文を読む。昨年出版されたときにはニューヨークにいたので、すぐには読めなかったが、楽しみにしていた本。巻頭の佐藤論文が、いつもながら訥々と底意地悪く、楽しい。…

水槽の中の脳

ヒラリー・パトナム『理性・真理・歴史』の巻頭に収められている超有名論文「水槽の中の脳」を読む。この論文に言及するほかの人たちの書いたものは読んでいたが、パトナムさん自身の論文を読んだのはこれが初めて。 僕はこの話は「夢」問題と同じ種類の懐疑…

タンノイのエジンバラ

長嶋有の『猛スピードで母は』が面白かったので、『タンノイのエジンバラ』(文春文庫)という短編集も読んでみた。これも良い。表題作では、『猛スピード』所収の二作品とは違って、語り手が男なので少々戸惑ったけど、話に入り込めばとりたてて違いはなか…

カズ

三浦知良が自民党の出馬要請を蹴った。ああ、これでひと安心だ。万が一、前向きに検討でもし出したら、「後生だからやめてくれ」というメールとFAXをじゃんじゃん送ろうかと思っていたところでした。

猛スピードで母は

近所のブックオフの105円コーナーで拾った長嶋有『猛スピードで母は』を読む。これは……良いですよ。ほんと。僕は小説については饒舌系の、すべてを説明しきってやるという感じの文章が好きなのだけど(まあ自分もわりとそういう資質だし)、逆に削ぎ落とし系…

テロリズム

息切れし、頭痛に苛まれながら、『さようなら、私の本よ!』読了。作者のきわめて微細かつ重層的な叙述を暴力的に要約すれば、これは9・11以降においてテロリズムの肯定的可能性を恢復させる探索である。もちろんそんな言い方は一面的にすぎる。ここでも…

哲学の歴史、『さようなら、私の本よ!』

おとといから風邪で発熱。パソコンに向かって原稿を書こうとするが息切れがして続かず、しかし完全に寝るほど重いわけでもないので、寝ころびながら、飯田隆編『哲学の歴史11 20世紀? 科学の世紀と哲学 <論理・数学・言語>』(中央公論新社)を半分ぐらい…