2006-01-01から1年間の記事一覧

ぐちと本の紹介

忙しい……。年明けに出さねばならない仕事が3つある。風邪も引いてしまった。いつも通り「ドリスタン」を半袋、お湯に溶いて飲む。 先週は、イギリスの医療社会学者サラ・フランクリンの着床前診断に関する新著(Sarah Franklin and Calia Roberts. Born and …

伊東四朗の夢

僕が夜見る夢はほとんどが怖い夢で、真っ暗なアパートの部屋で死体と一緒に寝起きしているといったものばかりだった。あるいは誰かに追いかけられて、デパートの地下食品売り場を延々逃げ続けるとか。学生時代に一時期「夢日記」をつけたこともあるが、そん…

立ち向かわなくていい

12月20日(水) 次の部屋探しから帰ってきて、ちょっと疲れた気持ちでラップトップを立ち上げ、たまたま松井秀喜が『朝日新聞』(12月6日)に書いたメッセージを読んだ。一行目が目に入ってきた瞬間、涙が出てきた。「君は、無理して立ち向かわなくていいん…

素晴らしい世界、ソラニン

ジャマイカ系の黒人の女の子に、「日本の若者たちは希望を失っていて、引きこもりとかニートとかが深刻な問題になっている」と話したら、ほとんどポカンと口を開けていた。世界一裕福なはずの人々がなぜそんなことになるのか、まったくわからないという。僕…

ベートーベン交響曲第七番

『のだめ・カンタービレ』のTVドラマ版(上野樹里が観たい……)の主題曲はベートーベンの交響曲第七番だそうですね。あれはベートーベンの交響曲のなかでは最もとっつきやすくで、三番や九番に次いでダイナミックで、しかし格調も決して低くはない曲だから、…

海辺の家・追記

そうそう、以前にこの日記で推奨した映画『海辺の家』のこと。確かにいい映画でホロリとさせられるんだけど、一つだけ大きな瑕疵はあからさまなホモフォビアが仕込まれているってこと。ちゃんとストーリー展開のなかでは効いてくる設定ではあるのだが、登場…

クロノアイズ

「読書日記」なのに、あんまり本のことを書いていないのは、NYに来てから昼間読んでいるのは生殖医療や遺伝医療、遺伝子工学と社会といった分野の(しかも英語の)論文ばかりだから。この日記は基本的に大学生向けに書いている(つもり)ので、そんなのを逐…

男性学

一昨日の晩はアメリカにおける「男性学」の先駆者の一人として知られる社会学者Michael S. Kimmel氏の講演を聴いた。NYUの「The Center for the Study of Gender and Sexualityの主催で、"What has happened to..." という講演シリーズの2回目(1回目のテー…

加齢効果?

松岡正剛の『遊学』(?・?)はとてつもなく面白い本だった。ありとあらゆる「ジャンル」の書物を思いもかけなかった地点から切り開いていく光景に目眩がするほどで、ほぼすべての項目が僕の思考を距離なしに活性化してくれた。一気に読めて(読むしかない)…

中西準子の宇井純追悼文

中西準子氏のサイトで、先日亡くなった宇井純氏への追悼文を読む。ずっしりと胸に迫る、というのはこういう感じだったか。 僕が「社会問題」というものに初めて目を見開かされたのは、10歳の夏に読んだ『公害のはなし』という本によってだった。いちばん好き…

走る女愛好会

がんばれ高橋尚子! どんなにみんなが「もう限界だろ」と囁いても、僕は君を応援しつづけるぞ。2008年、北京の夏を君の疾走が切り裂くまで。 ――「走る女愛好会」会員No00327

力関係

先日、『知らないと恥ずかしいジェンダー入門』という本を朝日新聞社から上梓しました。内容については、それなりの存在価値がある本だと思っているのですが、題名については……出版元の意向と著者の好みにずれがあり、結局著者のほうが譲ってしまいました。…

木星の渦のなかへ

最近の日常。ブルックリンお散歩ツアーに参加。あまりの寒さに風邪を引く。翌日、ニューヨーク・シティ・マラソンを見物。一瞬だがヌデレバ選手を見られて満足。だがそれより驚愕したのは、車椅子の部で、みんな競技用のハイテク三輪車に乗っているのに、そ…

「カッコいい不良」のロッケンロール

1985年頃を境にいろいろなことが変わった。突然変わったのではなく、それまでに高まっていた圧力を堰き止めていた堰がついに切れたという気がする。それについていつかまとまったものを書きたいと思っている。とはいえ、いつも通り、思うだけで終わってしま…

ドレミの歌

五番街を歩きながら考えた。日本語の「ドレミの歌」はいかがなものか、と。♪ドはドーナツのド/レはレモンのレ……という1番を受ける2番の出だしは、♪「ど」んなときにも/「れ」つを組んで……である。なぜ、どんなときでも列を組まなければならないのかとい…

マンガ名作選

気分転換にたまに行くのは「ブックオフ」ニューヨーク店。今日の夕方、2階のまんがコーナーで仕入れた柏木ハルコ『花園メリーゴーランド』を寝る前に読んでいたら、なんだか「まんが名作ベストテン」的なリストがつくりたくなってきた。最近毎日読んでいる…

パティ・スミス

そんなわけでCBGBでのパティ・スミスは見られなかったけど(TVのニュースでは盛んにステージ風景を映していたけど、時間は短かった。それでもパティが「ノスタルジックに思えるかもしれないけど、……」とかなんとか喋っているのだけは聞こえた)、チケ…

CBGB閉店の日

最近はまたアパートか図書館にこもって原稿の追い込み。出ているセミナーのアサインメントも十分に読めず、いったいNYくんだりまで来て何をやっているんだか……。 CBGBの閉店日にパティ・スミスが登場することも、知ったときには時すでに遅く、チケット…

ベルナルト・ハイティンク指揮、ロンドン交響楽団

先日、『The USA vs. John Lennon』という映画の先行公開を観にリンカーン・センターの映画館に出かけたら、あっさりチケットが売り切れていて、仕方なくその辺をぶらぶら見物しているときに目に入ったのが、ベルナルト・ハイティンク指揮、ロンドン・シンフ…

ユルゲン・ハーバーマス

2006年10月5日(金) 今日のロースクール・コロキアムのゲスト・スピーカーはユルゲン・ハーバーマス氏。「公共領域における宗教」という題のペーパーがあらかじめ配られていたのだが、僕は日本語での仕事に専念していて、半分も読めないまま出席する…

ロックンローラー、オノ・ヨーコ

とっても平凡なことを、自分では気が利いたことのつもりで、大声で言うタイプの人がいる。もちろん個々の発言については、僕だって多々そういうことはあると思えば恥じ入るしかないのだが、そもそもそういうことしか言わない、言えない人がけっこういるよう…

タウンホールのカサンドラ・ウィルソン

2006年9月20日(水) カサンドラ・ウィルソンのライブに行く。アパートから歩いて10分ほどの、タウンホールという場所。 中に入って初めて知ったのだが、このホールはかなり由緒あるところらしい。何気なく2階に上がってみて、壁に飾ってあるゆか…

出会いの場所

2006年9月11日(月) 【下】 開始予定の午後7時30分を少し過ぎて、会場の「The JCC in Manhattan」に到着。それまで「JCC」とは何の略かわからず、CとはChiristなんだろうと思っていたが、Jewish Community Centerの略だった。入り口でバックパックの…

レクイエム

2006年9月11日(月) 【上】 寒い。今日から冬なのかもしれない。何年か前に、ミシガン湖のほとりの小さな町で一夏を過ごしたことがある。あのときは、9月になってすぐのある夜、雨も降らないのに激しい雷鳴が轟き、雷光が「上から下」ではなく、だ…

平和な明日のために

2006年9月10日(日) 日曜日。良い天気。午後からワシントンスクエアに出かけて、いつものようにアマチュア・ミュージシャンたちを眺めながら、近くのデリで買った昼飯を食べる。ミネストローネが具だくさん(というか、なるべく具をたくさん掬っただ…

コロキアム「法・政治・社会哲学」始まる

2006年9月7日 いよいよ新学期。大学界隈にはいつのまにか学生たちが溢れていた。ぼくもいままでのアパート⇔図書館往復ライフからようやく抜けだし、今日が初日の"Colloquium in Legal, Political and Social Philosophy"に出席した。NYUはどの建物に入るのに…

タイムズスクエアの詐欺師?

きのうの夜、タイムズスクエアの人ごみの中を縫って歩いていたら、ぼくの右手が前を歩いている人の左手にぶつかり、何かが下に落ちた。勢いよく歩いていたのですぐには止まれず、少し通り過ぎたところから振り返ると、その人が路上の何かを拾い上げながら、…

ハト

ハトが嫌いだ。いや、ハトと書くと「東ハト」とか「ハトヤ」が連想され、反射的にキャラメルコーンが食べたくなったり、でっかい魚を両腕で抱えるポーズをとりそうになってしまったりするが、そんな脱力な雰囲気に誤魔化されてはいけない。改めて「鳩」と書…

グロリア・スタイネムとベティ・フリーダン

先週はモントリオールで開かれたアメリカ社会学会の年次大会に行ってきた。いろいろ面白いことがあったけど、いちばん感慨深かったのはグロリア・スタイネムさんの特別講演を聴いて、顔を拝めたこと。グロリア・スタイネムとは、1970年前後に『Ms』マガジン…

カマキリとハリガネムシ

関西に行って、うまく曜日が合ったときは、ホテルで『探偵ナイトスクープ』を観るのが楽しみのひとつだった。最近Youtubeに一挙にアップロードされていた分は粗方削除されてしまったようで残念だったけど、今日見たらまた新しく観られるものがアップされてい…