2007-01-01から1年間の記事一覧

純粋有形力

わたしは暴力が大嫌い、であることに偽りはないのだが、切った貼ったの肉弾戦における有形力の行使にぞくぞくさせられることがあるのは否めない。人体の裸の物質性が露呈する瞬間――それをきわめて自覚的な方法論をもって(たぶん)はじめて形象化した画期的…

精神分析と現実界

FC2ブログは、1ヶ月更新しないと、勝手に広告がエントリーに侵入してくるんですね。知らなかった。とっくに終わっていなければならない原稿二つ、毎日呻吟しているのだが、遅々として完成せず。。。そのうちの一つは、どうしてもフロイトのなぞりに終始して…

快原理の彼岸

フロイト全集〈17〉1919‐1922―不気味なもの、快原理の彼岸、集団心理学posted with amazlet on 07.11.28須藤 訓任 藤野 寛 岩波書店 (2006/11)売り上げランキング: 145536Amazon.co.jp で詳細を見る 岩波から刊行中のフロイト全集で、久しぶりに読んだ。これ…

なぜか売ってた

大人の科学マガジンVol.17 テルミン (Gakken Mook)posted with amazlet on 07.11.24大人の科学マガジン編集部 学習研究社 (2007/09/28)売り上げランキング: 59Amazon.co.jp で詳細を見る きのう、三鷹の駅ビル(ロンロン)の本屋になぜか積んであった。もち…

宣伝するの忘れてた

テクノソサエティの現在 (1) (ソキウス研究叢書 (4))posted with amazlet on 07.11.24松原 洋子 柘植 あづみ 加藤 秀一 文化書房博文社 (2007/09)売り上げランキング: 207151Amazon.co.jp で詳細を見る 柘植あずみ・加藤秀一編『遺伝子技術の社会学――シリー…

アメリカ医療の光と影

アメリカ医療の光と影―医療過誤防止からマネジドケアまでposted with amazlet on 07.11.12李 啓充 医学書院 (2000/10)売り上げランキング: 32267Amazon.co.jp で詳細を見る このあいだマイケル・ムーアの『シッコ』を観て面白かったので、積ん読だった本書を…

SONY PCM-D50

ス、スゲエかっこいい……。かつて、往年の名機・カセットデンスケ(TC-2890SD)を肩から提げて、SLだの鳥の声だのを生録(ナマロク、と読む)していた身にとっては、痛いところ突きまくりの新製品だぜ。2年前に出たD1のほうが、アナログのVUメーターが突いてい…

フョードロフ伝

とりあえず、『フョードロフ伝』の邦訳はあるようだ。ただし、新品は版元品切れ。明学の図書館にもない。うーむ。と思ったら、「本やタウン」で注文できた。

カラマーゾフ続編

「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する (光文社新書 319)posted with amazlet on 07.11.07亀山 郁夫 光文社 (2007/09)売り上げランキング: 10571Amazon.co.jp で詳細を見る ものすごく面白かった。 『カラマーゾフの兄弟』を読んだとき、「どう考えたって、…

カノン

手塚治虫「戦争漫画」傑作選 (2) (祥伝社新書 (087))posted with amazlet on 07.11.07手塚 治虫 祥伝社 (2007/08)売り上げランキング: 21643Amazon.co.jp で詳細を見る 超名作「カノン」を巻頭に置いた、手塚の戦争物アンソロジー第2巻。戦争・セックス・宗…

マジック

マジックposted with amazlet on 07.11.05ブルース・スプリングスティーン SMJ(SME)(M) (2007/10/24)売り上げランキング: 70Amazon.co.jp で詳細を見る 力の入った作品であることは確かだし、日本には数少ないと言われるブルース・スプリングスティーンの年…

福沢諭吉の真実

福沢諭吉の真実 (文春新書)posted with amazlet on 07.11.05平山 洋 文藝春秋 (2004/08)売り上げランキング: 192142おすすめ度の平均: 『福沢諭吉の戦争論と天皇制論』も併せて読むべき 本書の「完全版」は出版されるべき 福沢諭吉のイメージが変わる!Amazo…

フリーターにとって自由とは何か

フリーターにとって「自由」とは何かposted with amazlet on 07.11.05杉田 俊介 人文書院 (2005/10)売り上げランキング: 144864Amazon.co.jp で詳細を見る 刊行から2年経ったが、いわゆる「格差」をめぐって考え、行動するために、つねに携えるべき一冊であ…

I Love You,答えてくれ

I Love You,答えてくれposted with amazlet on 07.10.20中島みゆき 瀬尾一三 中村哲 小林信吾 ヤマハミュージックコミュニケーションズ (2007/10/03)売り上げランキング: 62Amazon.co.jp で詳細を見る こいつはスゲエ。「その正しさは気分がいいか/正しさの…

怪獣と美術

。 前から行こう行こうと思っていた、「怪獣と美術――成田亨の造形芸術とその後の怪獣美術」展(三鷹市美術ギャラリー)をようやく見に行くことができた。いやー良かったよ。紹介ページに出ているジャミラもいいけど、ザラブ星人の「宇宙感」が圧巻。『ウルト…

こいつは買い損ねちまった

再入荷は12月末とのこと。大人の科学マガジンVol.17 テルミン (Gakken Mook)posted with amazlet on 07.10.18大人の科学マガジン編集部 学習研究社 (2007/12/25)売り上げランキング: 11Amazon.co.jp で詳細を見る

紀伊国屋で見かけた本たち

ルネ・シャールの言葉posted with amazlet on 07.10.18ルネ・シャール 西永 良成 平凡社 (2007/06)売り上げランキング: 158841Amazon.co.jp で詳細を見るマルクスの「資本論」 (名著誕生 1)posted with amazlet on 07.10.18フランシス・ウィーン 中山 元 ポ…

ソラリスの陽のもとに

ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)posted with amazlet on 07.10.12スタニスワフ レム Stanislaw Lem 沼野 充義 国書刊行会 (2004/09)売り上げランキング: 135144Amazon.co.jp で詳細を見る 『〈個〉からはじめる生命論』の執筆が佳境に入り、アタ…

誕生の哲学・序説

つい先日、『〈個〉からはじめる生命論』(NHKブックス)という本を出しました。帯には何やらもの凄い惹句がたくさん書かれていますが(*´ー^`)ゞてへへ、実際の内容は、私がここ数年考えてきた(というか、考えあぐねてきた)由なし事を一般読者向けにでき…

自由とは何か

自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅 (ちくま新書 680)posted with amazlet on 07.10.08大屋 雄裕 筑摩書房 (2007/09)売り上げランキング: 34586おすすめ度の平均: 自由の意味を問い直す 問題提起の書 「自由」という言葉の定義Amazon.co.jp で詳細を見る…

破廉恥

近所のブックオフで拾った、とりみきの対談集『マンガ家のひみつ』を読んでいて、どうしても『ハレンチ学園』が読みたくなり、アマゾンで探してみたところ、ちょうど新装版が復刊中であった。オレにとって『ハレンチ学園』といえば「児島美ゆき」であり、い…

講談社現代新書四題

分子生物学者が「生命とは何か」を語る。とても面白い科学エッセイなのだが、その面白さの大部分は科学史的な記述のおかげである。とりわけ、ワトソンやクリックの影でノーベル賞の栄光から捨て置かれたロザリンド・フランクリンの話には胸が痛み、かれらに…

時間線を遡って

このかん、つい「ぽちっ」といってしまった再発ものたち。 EP4 / Lingua Franca-1 昭和大赦 FRICTION / 軋轢 FRICTION / '79 LIVE あと、Amazonにジャケ写真がないけど、 E.D.P.S. / DECEMBER 14TH 1983 MAY 27TH 1984など。 The Stalin / 虫 THE STALIN / L…

自分であるとはどんなことか

一瞬だけ、ひと息ついているところで。 大庭健『自分であるとはどんなことか』刊行から早十年。この間のルーマン研究の進展については全然知らないけど、この本のコアはやっぱり本物だと思う。社会システムと心システムは相互に環境である、社会システムの要…

鈴木先生

上昇し続けるテンション、深まり続ける苦悩、しかし読まずにはいられない、そしてぐったりと疲れ果てる。鈴木先生の闘いは、あの東堂太郎(『神聖喜劇』)のそれよりもさらに張り詰めたものではないのか? むしろ、最終的に戦争そのものの周縁にとどまった(…

ただのおしゃべり

これも前から気になっていた、絲山秋子氏の『沖で待つ』と『イッツ・オンリー・トーク』をようやく読んだら、なにかが普通のと違うマッサージを全身に受けたような感じがして、とても気持ちよくなった。細かく書きたいことがいろいろあるが、それはまたいず…

スーツケース、VOCE

3月の終わりにニューヨークから帰ってきたとき、3つの大きなスーツケースのうち1つは成田から宅急便で自宅に送り、あとの2つをひきずりながら地元の駅に到達した。すると、なんとホーム改造工事中で、頼みのエレベーターもエスカレーターも動いていない!…

差別と権力

前からずっと気になっていた魚住昭『野中広務――差別と権力』(講談社文庫)を、近所のブックオフの100円コーナーで拾って、思わず一気読み。期待にたがわぬ面白さだった。唸らされ、考え込まされるエピソード満載だが、とりわけ野中氏が「加藤紘一の乱」を剛…

言説分析の可能性

佐藤俊樹・友枝敏雄編著『言説分析の可能性――社会学的方法の迷宮から』の最初の三つの論文を読む。昨年出版されたときにはニューヨークにいたので、すぐには読めなかったが、楽しみにしていた本。巻頭の佐藤論文が、いつもながら訥々と底意地悪く、楽しい。…

水槽の中の脳

ヒラリー・パトナム『理性・真理・歴史』の巻頭に収められている超有名論文「水槽の中の脳」を読む。この論文に言及するほかの人たちの書いたものは読んでいたが、パトナムさん自身の論文を読んだのはこれが初めて。 僕はこの話は「夢」問題と同じ種類の懐疑…