平山 洋
文藝春秋 (2004/08)
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『
福沢諭吉の
戦争論と
天皇制論』も併せて読むべき
本書の「完全版」は出版されるべき
福沢諭吉のイメージが変わる!
たいへん面白かった。『時事新報』のテキスト・クリ
ティークを通じて、「度し難い
帝国主義者・
福澤諭吉」という近年の(一部の)イメージを払拭していこうとする著者の手さばきには十分な説得力がある。もちろん、ここでの指摘をふまえた上で、福澤の思想の内在的検討に進んだときに、著者が「
自由主義者・福澤」という別の一面化に傾斜しているという可能性はあるだろう。そこでは
僕もかつて素描した「優生思想」の問題もクローズアップされてくる。その線でいうと、福澤が最も高く買っていた弟子が、『日本人種改良論』(
1884年)の高橋義雄だったというのも興味深かった。