2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ザ・ハイロウズ以後

1980年、ブルース・スプリングスティーンの新譜『ザ・リバー』を、胸を高鳴らせながら毎日繰り返し聴いていた高校生の僕は、「1980」という新しい数字に、根拠もなく未来への希望を感じる、(いま以上の)ただの能天気野郎だった。けれども、それから10年後…

マイ国家

ときどき考える。いま日本には外交、民族、ナショナリズムetc.といったかたちで噴出している、まとめれば<内と外>をめぐるいろんな問題があるけど、考えてみれば鎖国をやめてからたった140年、それ以前の鎖国期間のほうがまだまだはるかに長いのだから、こ…

「親学」とゲーム脳

きのうは東京都が第三次男女平等参画審議会委員に高橋史朗(明星大学教授)を選んだことに対する「憂慮」表明のため都庁に出向いた。高橋氏が「男女平等」についてどういうことを言ってきたかについては、数日前にもリンクしたこちらの後半部分が資料集にな…

〈私〉の感情?――グレッグ・イーガンとテッド・チャン

今日の午後は某社から出す共著の論集(社会学の教科書)のための研究会に出席。少人数の研究会とか読書会というやつにはとんとご無沙汰なので、ちょっと新鮮な気持ちになれてよかった。浅野智彦さんの感情社会学に関する示唆的な報告の冒頭にP・K・ディック…

漫画版・神聖喜劇

大西巨人の超傑作・大長編小説をのぞゑのぶひさ作画・岩田和博脚色で漫画化した『神聖喜劇』を読み出したら止まらず、抱え込んだ仕事に押しつぶされそうになりながら、ついつい逃避心が働いて、第2巻までイッキ読みしてしまう。これは渾身の力作といってい…

東京都男女平等参画推進審議会で起きている問題

これまで、男女共同参画政策やフェミニズムや性教育をさんざん罵倒し、でっち上げまでして否定してきた、あの高橋史朗氏が、なんと東京都の男女平等参画推進審議会委員に選出されたことをめぐるアクション。こちらをご覧ください。→http://www.cablenet.ne.j…

『孤高の人』と『岳』、山の本

大学一年生の冬、11月の終わりに登った谷川岳は、青く晴れ渡った空を映し出してか、蒼白の雪と氷に覆われていた。あるいは水気を多く含んでゆるんだ雪が蒼く見えたのかもしれない。山稜から一の倉沢を覗き込むと、蒼白い岸壁が一気に漆黒の影へと落ち込んで…

若き数学者のアメリカ

ゆるゆると部数を伸ばし、ついにあの『バカの壁』をも超える最短期間で200万部に達したという藤原正彦の『国家の品格』はあんまり読みたい気がしないが、同じ著者の『若き数学者のアメリカ』は大好きな本だ。1970年代のアメリカ合州国における若き藤原正彦の…

現象学

「現象学」という言葉は、今なお僕の中に――“村の娘を呼ぶように”(谷川雁)とはいかないまでも――どこか心が躍るような、秘密の憧れめいた、まだ見たことのない場所へ足を踏み入れようとするときのような、あのえもいわれぬ感情を喚起する。たぶん一種のノス…

意識の自然

谷徹『意識の自然:現象学の可能性を拓く』(勁草書房)を読了。久しぶりの現象学。爽やかに晴れ渡ったゴールデン・ウィークの数日間をかけた甲斐は、じゅうぶん以上にあった。2段組で730ページを超える超重量級の本格的な研究書であるにもかかわらず、おそ…