2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

アナーキズム

このあいだ、近所のブック・オフで買って読んだ浅羽通明『アナーキズム』(ちくま新書)はなかなか面白かったし、知らない人物誌もたくさん書かれていてお得だった。とりわけ印象的だったのは次の2点。ひとつは、松本零士のアナーキズム思想を『キャプテン…

ウルトラマン・マックス

『ウルトラマン・マックス』が終わってしまい、寂しい。元祖『ウルトラマン』の出演者たちや怪獣たちが再登場したり、実相寺昭雄の監督作品は『盗まれない街』だったり、子どもたちだけでなくお父さん世代にもアピールどころではなく、どう考えても40代が…

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬

メキシコから不法入国してきた親友メルキアデス・エストラーダを国境警備員に(事故とはいえ)射殺されたテキサスのカウボーイ、ピート・パーキンズは、犯人の国境警備員マイク・ノートンを拉致し、すでに埋葬されていたメルキアデスの遺体を掘り起こさせ、…

マルクスの使いみち

四十を超えてからじわじわと老眼っぽくなってきて、電車の中で本を持つ手が日に日に顔から遠ざかる。混んだ車内で本を顔にくっつけるようにして広げるという芸当はもうできない。 そんな苦難とたたかいながら読んだ本書『マルクスの使いみち』(稲葉振一郎・…

空間の謎・時間の謎

内井惣七『空間の謎・時間の謎:宇宙の始まりに迫る物理学と哲学』(中公新書)を読了。ライプニッツ/マッハ路線の関係主義によって時空を再構成するという壮大なテーマを新書で一気に駆け抜ける。これはかなりキツかった。ぼくはブルーバックス・レベルの…

縷縷日記

NHKテレビのドイツ語講座をたまに観ている。昨年度と今年度のナターシャ先生もよいのだが(別に「メガネっ娘」萌えというわけではない)、いまでも時折思い出して胸がきゅんとするのは2003年度の講座だ。ベルリンのアパートをシェアしている何人かのドイ…

Brian Eno

このところ、ブライアン・イーノばかり聴いている。若い音楽ファンにとってはイーノなんてすでに歴史上の人物、あるいはせいぜいU2のプロデュースで名前を見たことがあるという程度の存在かもしれないが、骨の芯まで染みるポップが聴きたいなら、ぜひソロ作…

三笠書房とフランス書院

この両者は実は同じ出版社なんですね。正確に言うと、後者が前者の子会社だそうですが。いや別にいいのですが。

プロテストソングの変遷

昨日は家の近所でピーター・バラカン氏による「プロテストソングの変遷」という講座があったので出かけていった。狭い部屋に50人以上、ざっくばらんな雰囲気で正味2時間、曲は途中でfade out(これは仕方がない)ながら約20曲、聴いたことのなかった曲もあ…

『象られた力』、「形象の力」

飛浩隆『象られた力』(早川書房)を読む。新しめのSFを読むのは久しぶり。これはなかなかの力業、特に表題作はきわめて丹念に仕組まれた奇想だ。さすがSF大賞受賞作。最近の日本SFはこれくらいのレベルの作品がけっこうあるのかな? それならまた読ん…

『愛なんていらねえよ、夏』

しばらく前に買って、なかなかまとめて観る時間がないので、ちびちびと小出しに観ていたDVDの『愛なんていらねえよ、夏』(主演・広末涼子、渡部篤郎)を、ようやく観終わった。 素晴らしい傑作だ、これは。TV放映当時(2002年7月〜)の視聴率は平均7.7%、…

『二十世紀の法思想』

中山竜一『二十世紀の法思想』(岩波書店)を読む。「岩波テキストブックス」という、「有斐閣アルマ」の1・5倍という感じの教科書シリーズの一冊で、内容は題名通り。 これが、いやもう滅法面白い。教科書(と銘打っているだけでなく、内容や書き方も実際…

『哲学者の誕生』『ラッセルのパラドックス』

最近、なかなか一冊の本を通読することがない。目前に締め切りが迫ったささやかな原稿たちに少しでもインスピレーションを加えようと、ベンヤミン『パサージュ論』(岩波書店)の邦訳全5巻を本棚から引っ張り出して拾い読みしたり(しかしやはり<自分も動…

吉井和哉at武道館

武道館の吉井和哉は元気だった。前回のライブのしみじみした雰囲気も良かったが、今度はもう「普通」の状態。声も歌もうまくなっていたし、ぴょんぴょん跳ねていた。そして新しいシングル曲「BEAUTIFUL」の美しさ。<君の横顔は/beautiful>のところでは思わ…