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国連本部前にて

 NYに来て数日の間、猛暑の中をひたすら歩いていたとき、虚を突かれたように印象に残った光景は、国連本部の真ん前で行なわれていたユダヤ人の小さな集会。ぼくが通りかかったのはもう終わりにさしかかったところで、十数人ぐらいの参加者を前に中年の男性が演説をしていた。それを少し離れたところで腕組みをした警官が見守っている。そこらに貼ってある小さなポスターには、「イスラエルの兵士に安全を」「ロシアで危険にさらされている兄弟を守れ」といったスローガンが書かれている。エチオピア、という文字もあったように思う。レバノンの市民が、という文字はない。そんな「バランス感覚」は彼らには不要なのか、思いつきもしないのだろう。立ち止まってそんなことをぼんやり考えているうちに、集会は終わったらしく、人びとは淡々とポスターを剥がしたり、握手をしながら語り合ったりし出して、若い白人の警官は、やれやれといった雰囲気で持ち場を離れていった。

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