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しかし僕には、宇野理論やレヴィナスまで引っ張り出して著者が畳みかける「関係主義」の尊重というべきテーゼのありがたみがよくわからなかった。巻末に収録された新田滋との対論でも、現代日本にコミュニタリアニズムを持ちこんだ場合それが「単なる保守的復古思想」に出してしまう危険を指摘する新田に対して正面から答えず、「コミュニタリアン的価値観」を繰り返し称揚するだけである。
ただし、青木氏の論そのものは一貫してはいる。青木氏は、「個人のヴォランタリーな連合という社会契約的人間観」を前提としたアソシエーショニズムと、「社会関係による負荷性を第一次的前提とした存在被拘束的な人間観を基礎にしている」コミュニタリアニズムとを「止揚」したり「一体的」に理解することなど不可能であり、いずれかの選択しかないと明言しているからである。そうかもしれないが、そのあたりはまだよくわからない。さしあたり備忘録としていま僕が書きとめておけるのは、第一に、青木氏が本書で描く範囲のコミュニタリアニズムなるものは僕にとって社会構想としての魅力に欠けているということ、第二に、根底的に「存在被拘束的な人間観」を前提として人間―社会を理解することと、そのような人間がいかなる関係性をつくりうるかを構想するかは、水準の異なる問題であるだろうという見通しである。いうまでもなく人間は、無数の他者たちとの関係性の中で主体化される。そして、そのようなものとして、あたかもそこからすべての自由が発するかのように振る舞い、そのことを通じて、これまでとは別の関係性を築くことができる、はずである。
なんとなく読み返してみて、いろいろな意味で被っている深甚な影響を再確認せざるを得なかった本。
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あとこれも。
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3年生のゼミ合宿のテキスト。
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