田中雄一『まちあわせ』、三好銀『もう体脂肪率なんて知らない』、つばな『第七女子会彷徨 7』

田中雄一作品集 まちあわせ (KCデラックス)田中雄一作品集 まちあわせ (KCデラックス)
田中 雄一

講談社 2014-06-23
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 4つの短編を収録。大まかにテーマを分けると、前半の2本は人類と異質な敵との戦い(巨大昆虫や「異人類」との死闘を日常化しながら次第に追い詰められてゆく人類)を、後半の2本は人類自身の異質なものへの変貌(巨大な樹木との合体、共同体を守るために巨獣にさせられる少年)を描く。
 どれもド迫力だが、とりわけ表題作がもたらす感動は圧倒的だ。楳図かずお漂流教室』、諸星大二郎「生物都市」、藤子F不二雄「一千年後の再会」といった名作群を通過・消化しながら、人類の変貌を通じた再生というSF的王道テーマを高密度のメロドラマに仕立て上げる力量はすばらしい。主人公たちのありふれたセックス・シーンのかそけき美しさ。庄司創と並んで、現代SFの一方の極を記しづける名作である。

もう体脂肪率なんて知らない (ビームコミックス)もう体脂肪率なんて知らない (ビームコミックス)
三好 銀

KADOKAWA/エンターブレイン 2014-02-24
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 いつも通りの、人を食ったような三好銀のぷちシュールな日常世界。空気そのものが少し痒いようなエロティシズムも健在。

第七女子会彷徨 7 (リュウコミックス)第七女子会彷徨 7 (リュウコミックス)
つばな

徳間書店 2014-07-07
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 待望の第7巻は、予想以上の壮大な話だった。大島弓子の名作「ロングロングケーキ」等にも通じる、ある意味で少女マンガの通奏低音をなすテーマに貫かれていると思ったが、中身は読んでのお楽しみ。ふと、ドアーズからつげ義春吾妻ひでおを通ってつばなへ、という系譜図が頭に浮かんだが、途中が飛びすぎですかね。