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ただ、この第6巻は、5巻までとはちょっと絵柄が変わったな。主人公たちの顔がだいぶ丸くなって、線が太くなったような……。
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とはいえ、「本を読む人」であるというだけでこれほどまでに疎外感に苛まれなければならない、ということが、僕には実感としてよくわからない。中学生の時、僕の友達は勉強はできないが滅茶苦茶オモシロイというタイプが多かった。かれらは本などほとんど読んではいなかったとは思うけど、僕がランボーの「永遠」(角川文庫の金子光晴訳)を暗記して諳んじてみせたら気に入って、ちょっとしたブームになった。星新一や筒井康隆はみんな読んでいた。僕は友達(こっちは勉強のできるやつだっかが)に大江健三郎の凄さをアツく語った。本を読んで新たなネタを仕入れて教えてくれるようなやつは一目置かれていた。それはそうだろう、仲間内だけで情報の再生産を繰り返していたって退屈なだけだ。外を垣間見せてくれるやつが内輪でもヒーローになれる。その「外」はバイクやエロ本であることもあれば、文学や映画であることもある(もちろん中学生の僕は、それらすべてに激しく興味を抱いていた。)。
『悪の華』が描く、澱んだ反知性主義に塗れた世界はどれほどの広がりをもっているのだろう。電車のなかで、高校生らしき女の子たちが「あの人、頭のいい人だからさ〜」「あぁ〜」という会話を、蔑むようなイントネーションで交わしているのを聞いたことがあるが、押見が描くようにそういうノリが主流なのだろうか。先日紹介した浅野さんの本を読めばそのあたりがわかるのかもしれない。ヤンキー社会とか、橋本徹の巧みな反知性主義とか、そいういう話に通じる現実は、どれだけ蔓延しているのだろう。
それはともかく、作者の魅力的な女の子を造形する能力は異常だ。この巻で終わってくれと言う心の叫びとは裏腹に、主人公が次はどんな美少女と遭遇し、右往左往させられるのか、(としまえんの「ミステリー・ゾーン」の扉が次々と開かれていくように)何度でも見せてくれという欲望も隠しきれないことをここに書きとめておく。
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想像を遙かに超えた全編ドンパチ娯楽活劇であった。少しは休ませてくれよと言いたくなるくらいめまぐるしく濃密に展開するストーリーに、3Dを完全に消化した映像の文句なしの迫力。現実社会との対応という面から見ると、9.11以降の人類に降りかかったあらゆる災厄がパワーアップしつつ束になってカークを襲いまくり、人類の運命を背負ったカークが繰り返し決断を強いられる姿からは、他人事ではないという重みが伝わってくる。劇場(TOHOシネマズ六本木ヒルズ、スクリーン2)で観るために払ったお金の元は十分に取れたのだけれど……これは本当に「スタートレック」なのか?という疑問が、観ている間ずっと脳内をぐるぐるしていた。だいたい、あんな熱血漢のスポックなんて……。
もっとも僕はオリジナルのTVシリーズと1979年の初代映画版が大好きで、80年代以降のTVシリーズも映画版もあんまり観ていないので、こんな違和感は、そういう恐竜のようなファンの戯言に過ぎないのかもしれない。ラストシーンのカークによる「憎悪と復讐の連鎖はやめましょう」(大意)という演説はどうにもとってつけた感じだが、でもそのゆるさが、かえって往年のスタートレックらしさをちょっぴり感じさせてくれたような気もするほどだ。
でもなー、Wikiによると監督は『スタートレック』よりも『スターウォーズ』のファンだそうだけど、この内容ならやっぱりそういう映画として撮ればよかったんじゃないの、とどうしても思ってしまうね。何よりエンタープライズ号には、未知の領域を探索してほしい。観客としては、そこで戸惑ったり、身勝手な行動に走るカーク船長に突っ込みをいれまくる楽しみを奪わないでほしい。そういうわけで、初代映画版が久しぶりに観たくなった。
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ところで、映画館に入る前に森ビル内のスタバで「チャイティーラテ」を飲んでたんだけど、このあいだニューヨークでさんざん飲みまくった味の印象がまだ残っていて、日本のやつは妙に薄く感じ、ちょっと損した気分がした。クリームも、アメリカではこれでもかというほどもっとたっぷり乗せてくれてたぞ!