英語教材・リスニング編

 おれは自慢じゃないが英会話はまるでダメだが、英語は嫌いではない。英語教材もけっこう持っている。というか、試しては放り投げ、また買っては積ん読……の繰り返し、というのが正直な(情けない)実情である。。。が、気まぐれに、おすすめ教材をいくつか挙げておこう(ただし、いわゆる中上級者向け)。
 リスニング教材ではなんといってもNHKラジオ講座杉田聡先生による『ビジネス英会話』。これは単行本だが、週3回の放送を録音して、数百円のテキストを毎月買えば、1年後には安くて最強のリスニング用テキストが出来上がる。本当は昔の『やさしいビジネス英語』のほうが、分量も多いし、一回の時間も長いので、杉田先生のちょっとした蘊蓄とか、ネイティブ教師(年によって違う)のアドリブの説明がたっぷりあって良かったのだが、現行の番組でも非常に役に立つ。昔のやつはより抜きで単行本になっているので、それを利用してもいい。
 内容的には、アメリカのとある商社員たちの雑談、という設定で、たしかにビジネス関連の話が多いが、それに限らず、社会全般の動き(AIDSとか民族問題とか)もよく採りあげられていた(過去形で書くのは、現行版をあまり聞いていないから)。スピードはかなり速い。これを2回聞いて概略をつかめるぐらいまで耳を鍛えれば、英検1級程度のリスニングはほぼ大丈夫だろう。内容が面白いし、英語のあとに日本語の解説がはさまって再び英語、という順で番組が進められるので、テキストなしでただ聞き流していても頭に残る。電車の中で聞くのに最適。

 『ビジネス英語』はすべて会話体なので、ニュース調の英語が聞きたいときは、『速読速聴・英単語』(増進会出版社)の中から自分のレベルに合ったヤツを選ぶと良い。おれはAdvanced1000 Ver.2というのを最近買って聴いたが、ほぼリアルスピードで、1回目で概略はわかるがdictationを完璧にするのは4,5回聴いても無理、という感じ。ほぼ『ビジネス英語』に対応する難易度だ。
 他に毛色の違うリスニング教材としては、いまをときめく斉藤兆史+上岡伸雄著『英語達人読本』(中央公論新社)がおもしろい。エマーソンやフレデリック・ダグラスから、ティム・オブライエンやイシグロ、ナイポールといった英語作家の名文を切り取って、ピーター・バラカン氏ほか1名のネイティヴ・スピーカーによる朗読CDが付く。リスニング練習はどうしても会話か時事英語に偏るので、これは気分転換にも貴重な教材である。