獄中からの手紙

獄中からの手紙 (岩波文庫)獄中からの手紙 (岩波文庫)
ローザ・ルクセンブルク

岩波書店 1982-01
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 アマゾンでは品切れになっていたけど、新宿西口に新しく出来たブックファーストの棚で見つけた(アマゾンでも、いま見たら在庫ありに変わっていた)。
 ローザ・ルクセンブルグの人柄、というよりも根本思想を象徴するように思われるのは、たとえばこんな言葉だ。

わたしはよく、自分は本当をいうと決して人間などではなくて、実は人間の格好をした何かの鳥か、さもなければけだものなのだと、そんなふうに感じられることが再々なのですから、心底をいうと、ここのようなささやかな庭園か、もしくは野原の真中で、マルハナバチや草にとりかこまれて暮らす方が――党大会に出席している時よりどんなにか居心地よく、いかにもわが故郷といった感じになれるか知れないのです。(……)こういったからといって、あなたなら、さてこそ社会主義への裏切りだなどと、わたしをとがめ立てするような気遣いはありませんものね。(ウロンケ、1917年5月2日、ゾフィー・リープクネヒト宛の手紙)

 『蟹工船』やチェ・ゲバラのブームもそれはそれで良いのだが、このところアイザイア・バーリン『自由論』をゆっくり読みすすめる合間にこんな一節を読みながら、まあ落ち着いてやりましょう、これまでの歴史の全てを見据えるささやかな努力を忘れずに進みましょう、といった気持ちにもなる今日この頃。