獄中からの手紙 (岩波文庫) ローザ・ルクセンブルク 岩波書店 1982-01 売り上げランキング : 199584 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ローザ・ルクセンブルグの人柄、というよりも根本思想を象徴するように思われるのは、たとえばこんな言葉だ。
『蟹工船』やチェ・ゲバラのブームもそれはそれで良いのだが、このところアイザイア・バーリン『自由論』をゆっくり読みすすめる合間にこんな一節を読みながら、まあ落ち着いてやりましょう、これまでの歴史の全てを見据えるささやかな努力を忘れずに進みましょう、といった気持ちにもなる今日この頃。わたしはよく、自分は本当をいうと決して人間などではなくて、実は人間の格好をした何かの鳥か、さもなければけだものなのだと、そんなふうに感じられることが再々なのですから、心底をいうと、ここのようなささやかな庭園か、もしくは野原の真中で、マルハナバチや草にとりかこまれて暮らす方が――党大会に出席している時よりどんなにか居心地よく、いかにもわが故郷といった感じになれるか知れないのです。(……)こういったからといって、あなたなら、さてこそ社会主義への裏切りだなどと、わたしをとがめ立てするような気遣いはありませんものね。(ウロンケ、1917年5月2日、ゾフィー・リープクネヒト宛の手紙)