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資本論

資本論〈第1巻(上)〉 (マルクス・コレクション)資本論〈第1巻(上)〉 (マルクス・コレクション)
Karl Marx 今村 仁司 鈴木 直

筑摩書房 2005-01
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「大学院基礎演習」の三つ目のテキスト。冒頭の第一章「商品」と第二章「交換過程」のみ。ドイツ語原文に照らし合わせての正確さについて僕には評価することはできないが、日本語としてはこなれてリズムのよい文章になっている。原語が同じなのでなるべく日本語でも同じ訳語を充ててほしいところで、文章の自然さを優先して訳し分けているところも、そこから原語を類推して原著にあたれないほどの意訳になっているわけではなく、使いやすいテキストだと思った。
 内容は、もちろん、めちゃくちゃ面白い。価値とは何か、交換とはいかなる現象か、社会という概念、人間の同質性という観念の歴史性、貨幣と言語の異同……といった一般的な問題について、いきなり胸ぐらをつかむような鋭さの議論がぐいぐい展開されてゆくわけだ。(マルクスが、商品たちの「社会」をいうのは、人間社会からとってきた二次的な比喩ではない。)

 参考書としてあれこれひっくり返してみたなかで、約20年ぶりに読み直してみて、やっぱりこれは凄い本だったと改めてしみじみしたのは、

マルクスその可能性の中心 (講談社学術文庫)マルクスその可能性の中心 (講談社学術文庫)
柄谷 行人

講談社 1990-07
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 それにしても、『資本論』があって、この本だってあったのに、どうしてその後も曖昧模糊とした「構築主義」(=ただの俗流観念論)なんてものが流行ったのだろう? (「クレーム」活動をめぐる社会学的に使用範囲の限定されたハナシとかは別によいのだが)。